この項目では過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これをもとに乗務割が作成され、休憩時間、睡眠のための時間が法令に違反することなく、しっかり管理されているかどうかがチェックされます。
以下でチェックポイントの詳細を見ていきましょう。
このページの目次
改善基準告示(運転者のための法律)に違反しない運行となっているか
「改善基準告示」とは、運転者の労働時間に一定の基準を設け、交通事故を防ぐための労働条件の定めのことです。
※正式には「労働省告示第7号-自動車運転者の労働時間の改善のための基準」と言います。
改善基準告示では、自動車運転者の拘束時間、労働時間、休息期間などについて厳しい基準が定められています。主に注意すべき点を挙げておきますので、我が社では改善基準が守られているか確認してください。
改善基準告示のここだけは押さえておこう
過労防止を配慮した乗務割りの作成には、改善基準告示で定められた基準のうち、特に次の5つがチェックされます。
- 拘束時間
- 休息期間
- 休憩時間
- 運転時間
- 休日労働
これらはGマーク申請においても、運送業を営むうえでも非常に大切な基準となりますので理解しておきましょう。
拘束時間の制限について
改善基準告示では、1日、1週、1ヶ月、1年について拘束時間の限度が下記のように定められています。
- 日の拘束時間は基本的に13時間まで。ただし、16時間までなら延長可能。
- 拘束時間が15時間を超えることが出来る日数は1週間に2回まで。
- 1ヶ月の拘束時間は293時間まで。ただし、最大320時間まで延長可能。
- 拘束時間が320時間まで伸ばせるのは、年間6ヶ月まで。
- 年間の総拘束時間は3,516時間まで(293時間×12カ月)。従って、293時間を超える月があれば、他の月は拘束時間を短くする必用があります。
休息期間について
休息期間とは、運転者が運行を終えて退社してから次の運行のために出勤するまでの時間のことです。つまり、ハンドルを握ることなく、仕事の指示を待つこともなく家や社宅に帰ってテレビを見たり、睡眠を取ったりして次の運行に備えるため、完全に業務から解放される時間です。
改善基準告示では、運転者の健康状態を良好に保つため、勤務終了後は基本的に継続して8時間以上の休息を与えることが定められています。
休息期間の特例について
業務の必用上やむを得ない場合に限り、1回継続4時間以上の分割休息で合計10時間でも良い。
拘束時間と休息期間の関係
休息期間の説明で述べた「継続して8時間」の意味は、最大の拘束時間である16時間勤務をした場合に取るべき休息期間のことで、「休息期間は最低でも継続8時間以上与えなければならない」と理解してください。
16時間勤務できるのは週2回が限度とされているので、毎日8時間しか休息期間が取れない勤務はありえません。拘束時間が原則13時間ということは、休息期間は原則11時間ということになります。
休憩時間について
休憩時間とは、運転者が食事をしても仮眠をしても良いまったく自由な時間です。したがって、労働時間には入りませんが拘束時間の範囲内となります。
労働時間が6時間を超え8時間以内の場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を労働時間の間に運転者に与えなければいけません(労働基準法第34条1項)。
運転時間について
運転時間は2日平均で1日当たり9時間以内。2週平均で1週間当たり44時間以内と定められています。
連続運転時間について
連続運転時間は4時間以内。運転の中断には、1回連続10分以上、かつ、合計30分以上の運転離脱が必要と定められています。
休日労働とその取扱いについて
休日労働は2週間に1回以内まで。そして休日は休息期間に24時間を加算した時間でなければいけません。いかなる場合でも30時間を下回ってはならないと定められています。
これらの改善基準告示で決められたルールに違反した労働や運行をしていると、点数は加算されません。そればかりか、常態として改善基準告示違反を行っていると判断されれば行政処分となってしまいます。
荷主の要望に応えるため、違反とわかりながら仕方なく運行していると言うトラック運送事業者様もいらっしゃるかと思います。しかし、5年後、10年後に勝ち残っていくためになるべく改善基準告示違反は避けてください。
チェックされる帳票類
- 運行計画表(乗務割り表)
- 運行指示書
- 乗務等の記録(運転日報)
- 運行記録計による記録(タコグラフ、チャート紙など)
- 常務管理一覧表(拘束時間管理表)
この項目の配点
過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間、睡眠のための時間が適正に管理されているかどうかの配点は「3点」です。
Gマーク取得に関するお悩みは、運送業支援専門「行政書士事務所シフトアップ」までお気軽にご相談ください。
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